Java | Java 標準ライブラリ：LocalTime

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LocalTime をざっくり一言でいうと

LocalTime は、
「日付もタイムゾーンもいらない、“純粋な時刻（時・分・秒だけ）”」
を表すクラスです。

朝 9 時に開店、12 時に休憩開始、18 時に閉店、みたいな

  • 「何時から何時まで」
  • 「この時間帯かどうか」
  • 「1 時間後の時刻」

といった「時刻だけ」の話を、安全に、分かりやすく扱うための道具だと思ってください。

「2025-01-01 09:00」ではなく、「09:00 という時刻」だけを扱いたいときの主役です。

LocalTime の基本：生成と取り出し

「今の時刻」と「指定した時刻」を作る

LocalTime は java.time パッケージにあります。

次の二つをまず押さえてください。

import java.time.LocalTime;

public class LocalTimeBasic {
    public static void main(String[] args) {
        LocalTime now = LocalTime.now();
        System.out.println("now = " + now);  // 例: 14:23:45.123456789

        LocalTime nineAM = LocalTime.of(9, 0);           // 09:00:00
        LocalTime precise = LocalTime.of(9, 30, 15);     // 09:30:15

        System.out.println(nineAM);   // 09:00
        System.out.println(precise);  // 09:30:15
    }
}
Java

重要なポイントは、of(時, 分, 秒) の時刻は、直感通り「0〜23 時」「0〜59 分」です。
古い API のような変なオフセットはありません。

LocalTime.now() は「そのマシンのデフォルトタイムゾーンでの“今の時刻”」を返しますが、
戻ってくる値自体には「タイムゾーン情報」は含まれていません。
あくまで「時刻だけ」です。

時・分・秒を取り出す

LocalTime t = LocalTime.of(9, 30, 45);

int hour   = t.getHour();        // 9
int minute = t.getMinute();      // 30
int second = t.getSecond();      // 45

System.out.println(hour + "時" + minute + "分" + second + "秒");
Java

ここまでで、「LocalTime は“時計だけ”を扱うクラス」という感覚が少し掴めたはずです。

LocalTime の「不変性」と安心して扱える理由

LocalTime は一度作ったら中身が変わらない

LocalTime は LocalDate と同じく、不変（immutable）です。

LocalTime t1 = LocalTime.of(9, 0);
LocalTime t2 = t1.plusHours(1);

System.out.println(t1); // 09:00
System.out.println(t2); // 10:00
Java

plusHours(1) を呼んでも、t1 自体は変化せず、新しい LocalTime が返ってきます。

可変なクラス（たとえば java.util.Date）だと、

あるメソッドに渡したら、知らないうちに中身が書き換わっていた
別スレッドから書き換えられて、結果が不安定になった

という厄介な問題が起こりますが、LocalTime ではそれが起きません。

この「変わらない」という性質は、
時刻をたくさん扱う実務のコードでは本当に頼りになる特徴です。

時刻の加算・減算・比較（ここをしっかり押さえる）

時刻に足したり引いたりする

「30 分後」「1 時間前」を求めるのはとても簡単です。

LocalTime start = LocalTime.of(9, 0);

LocalTime after30Min  = start.plusMinutes(30);  // 09:30
LocalTime before1Hour = start.minusHours(1);    // 08:00

System.out.println(after30Min);
System.out.println(before1Hour);
Java

24 時間をまたいでも、自動的に 0〜23 時の範囲に収まるように調整されます。

LocalTime late = LocalTime.of(23, 30);
LocalTime after1Hour = late.plusHours(1); // 00:30（翌日の 0:30 という「時刻」）
System.out.println(after1Hour);           // 00:30
Java

ここで大事なのは、「日付はまったく関係ない」という点です。
「翌日」と聞くと日付を意識したくなりますが、LocalTime は「時計の針が一周しただけ」と考えます。

時刻同士の比較（isBefore, isAfter）

「この時刻は 9 時より後か？」などの判定は、次のように書けます。

LocalTime t1 = LocalTime.of(9, 0);
LocalTime t2 = LocalTime.of(10, 30);

boolean b1 = t1.isBefore(t2); // true
boolean b2 = t2.isAfter(t1);  // true
boolean b3 = t1.equals(t2);   // false

System.out.println(b1);
System.out.println(b2);
System.out.println(b3);
Java

メソッド名がそのまま意味を表しているので、
ビジネスロジック（営業時間かどうか、受付時間内かどうか）を、そのままコードに落としやすくなります。

実務でよくある「時間帯の判定」を LocalTime で書いてみる

例題：営業時間内かどうかを判定する

営業時間が「9:00 〜 18:00」の店があるとします。
今の時刻が営業時間内かどうかを判定したい場面は、よくあります。

import java.time.LocalTime;

public class BusinessHours {
    public static void main(String[] args) {
        LocalTime open  = LocalTime.of(9, 0);
        LocalTime close = LocalTime.of(18, 0);

        LocalTime now = LocalTime.now();

        boolean isOpen =
                (now.equals(open) || now.isAfter(open)) &&
                now.isBefore(close);

        System.out.println("現在時刻: " + now);
        System.out.println("営業中か？: " + isOpen);
    }
}
Java

ここでやっていることを日本語にすると、

開店時刻以上かどうか（open と同じか、それより後か）
かつ
閉店時刻より前かどうか

という条件チェックです。

LocalTime だけを使っているので、
日付やタイムゾーンの影響を受けず、「時計の時刻」だけを素直に比較できます。

例題：休憩時間（12:00〜13:00）を除外する

営業時間の中でも、12:00〜13:00 は休憩時間としましょう。
さっきの例に条件を足してみます。

LocalTime open     = LocalTime.of(9, 0);
LocalTime close    = LocalTime.of(18, 0);
LocalTime breakFrom = LocalTime.of(12, 0);
LocalTime breakTo   = LocalTime.of(13, 0);

LocalTime now = LocalTime.now();

boolean inBusinessTime =
        (now.equals(open) || now.isAfter(open)) &&
        now.isBefore(close);

boolean inBreakTime =
        (now.equals(breakFrom) || now.isAfter(breakFrom)) &&
        now.isBefore(breakTo);

boolean canServe = inBusinessTime && !inBreakTime;
Java

このように、時間帯の判定は LocalTime と比較メソッドの組み合わせでかなり読みやすく書けます。

文字列との相互変換：フォーマットとパース

LocalTime → 文字列（format）

時間を表示用の文字列にしたいときは、DateTimeFormatter を使います。

import java.time.LocalTime;
import java.time.format.DateTimeFormatter;

public class LocalTimeFormat {
    public static void main(String[] args) {
        LocalTime time = LocalTime.of(9, 5, 3);

        DateTimeFormatter fmt = DateTimeFormatter.ofPattern("HH:mm:ss");
        String s = time.format(fmt);

        System.out.println(s); // 09:05:03
    }
}
Java

ポイントは、

DateTimeFormatter はスレッドセーフ
古い SimpleDateFormat のように「マルチスレッドで壊れる」心配がない

という点です。

文字列 → LocalTime（parse）

import java.time.LocalTime;
import java.time.format.DateTimeFormatter;

public class LocalTimeParse {
    public static void main(String[] args) {
        LocalTime t1 = LocalTime.parse("09:30");       // ISO形式 "HH:mm" はそのままOK

        DateTimeFormatter fmt = DateTimeFormatter.ofPattern("H時m分");
        LocalTime t2 = LocalTime.parse("9時5分", fmt); // パターンを指定してパース

        System.out.println(t1); // 09:30
        System.out.println(t2); // 09:05
    }
}
Java

Web フォームの入力値や設定ファイルの「時刻文字列」を
s -> LocalTime に変換する場面で、頻出のパターンです。

LocalTime と LocalDateTime / Date / Instant の関係を整理する

LocalDateTime との組み合わせ

LocalTime は「時刻だけ」、LocalDate は「日付だけ」です。
これを合わせたのが LocalDateTime です。

具体的には、こうやって合成できます。

import java.time.LocalDate;
import java.time.LocalDateTime;
import java.time.LocalTime;

LocalDate date = LocalDate.of(2025, 1, 10);
LocalTime time = LocalTime.of(9, 30);

LocalDateTime dateTime = LocalDateTime.of(date, time); // 2025-01-10T09:30
System.out.println(dateTime);
Java

あるいは、LocalDate に atTime したり、LocalTime に atDate したりもできます。

LocalDateTime dt1 = date.atTime(time);
LocalDateTime dt2 = time.atDate(date);
Java

「日付だけ」と「時刻だけ」を分けて考えたい場面では、
入力段階では LocalDate と LocalTime、
内部での処理や DB 保存の前に LocalDateTime にまとめる、という設計もよく使われます。

Date / Instant とどう付き合うか

古い API や DB ドライバなどで java.util.Date が出てくる場合、
LocalTime と単純に 1 対 1 変換することはできません。

Date や Instant は「日時（瞬間）」であり、
そこから「時刻だけ」を取り出すには「どのタイムゾーンか」という情報が必ず必要になるからです。

例えば、日本時間として解釈して時刻だけ抜きたい場合は、次のようになります。

import java.time.*;
import java.util.Date;

Date legacy = new Date(); // どこかから来たとする

Instant instant = legacy.toInstant();
ZoneId zone = ZoneId.of("Asia/Tokyo");

LocalTime time = instant.atZone(zone).toLocalTime();
System.out.println(time);
Java

逆に、「ある日付と時刻を日本時間の Instant / Date にしたい」なら、こうです。

LocalDate date = LocalDate.of(2025, 1, 10);
LocalTime time = LocalTime.of(9, 0);
ZoneId zone = ZoneId.of("Asia/Tokyo");

LocalDateTime ldt = LocalDateTime.of(date, time);
Instant instant = ldt.atZone(zone).toInstant();
Date dateObj = Date.from(instant);
Java

ここで意識しておきたいのは、

LocalTime は「タイムゾーンに縛られない純粋な時刻」
Instant / Date は「UTC 基準の瞬間」

という違いです。

まとめ：LocalTime を自分の中でこう位置づける

LocalTime を初心者向けにまとめると、こうなります。

タイムゾーンも日付も持たない、「時・分・秒だけ」のクラス。
不変なので、勝手に書き換えられたり、スレッド間で壊れたりしない。
of, now, plusMinutes, isBefore などで、時刻計算や時間帯判定を直感的に書ける。
DateTimeFormatter と組み合わせて、時刻文字列との相互変換がシンプルかつ安全にできる。
LocalDate と組み合わせて LocalDateTime にしたり、タイムゾーンを指定して Instant / Date に変換したりできる。

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