reverse とは何か
reverse は「配列の要素の並びを“逆順”に並べ替える」メソッドです。ここが重要です：reverse は“破壊的（インプレース）”に働き、元の配列そのものを逆順に書き換えます。戻り値は“同じ配列への参照”です。
基本の使い方と破壊的挙動
配列を逆順にする
const a = [1, 2, 3];
const r = a.reverse();
console.log(r); // [3, 2, 1]
console.log(a); // [3, 2, 1]（元も変わる）
console.log(r === a); // true（同じ参照）
ここが重要です：元配列を書き換えるため、他所で共有していると意図せぬ影響が出ます。共有状態では“非破壊”の手段を取りましょう。
非破壊で逆順にしたいとき
const a = [1, 2, 3];
const reversed = [...a].reverse(); // まずコピーしてから reverse
console.log(a); // [1, 2, 3]（元はそのまま）
console.log(reversed); // [3, 2, 1]
ここが重要です：スプレッド（または slice）で“浅いコピー”を作ってから reverse すれば、安全に逆順を得られます。
よく使うパターン（時系列・末尾基準の操作）
時系列の最新から表示
const logs = ["10:00 起動", "10:05 読み込み", "10:10 完了"];
const newestFirst = [...logs].reverse();
// UI表示を最新→過去にしたいときの定番
末尾 N 件の逆順取得
const xs = [1,2,3,4,5,6];
const last3NewestFirst = xs.slice(-3).reverse(); // [6,5,4]
ここが重要です：slice(-N) で“末尾 N 件”を取り、reverse で“新しい順”に並べると直感的です。
逆順ループ（for…of）
for (const x of [...xs].reverse()) {
// 逆順で処理（元を守る）
}
挙動の細かいポイント（疎配列・要素型）
疎配列（空スロット）の扱い
const a = [1, , 3]; // 真ん中は“空スロット”
a.reverse();
console.log(a); // [3, , 1]（穴も“位置ごと”反転）
ここが重要です：空スロットは“存在しない要素”として位置だけ反転します。穴が気になるなら、先に Array.from などで正規化して扱うのが安全です。
オブジェクト要素は参照がそのまま移動
const users = [{id:1},{id:2}];
const r = [...users].reverse();
r[0].id = 999; // オブジェクト参照は共有
console.log(users[1].id); // 999
ここが重要です：reverse は“順序”を変えるだけ。要素のオブジェクトは同じ参照です。編集するなら要素のコピー（{…obj}）を使います。
型付き配列（TypedArray）でも reverse 可能
const a = new Uint8Array([1,2,3]);
a.reverse();
console.log(a); // Uint8Array [3,2,1]
文字列を逆順にしたいときの注意
基本的な文字列の反転
const s = "abc";
const rev = s.split("").reverse().join(""); // "cba"
ここが重要です：文字列は配列ではないため、split→reverse→join の手順になります。
絵文字・結合文字を正しく扱う（初級の安全策）
const s = "a😊́b"; // サロゲートペアや結合文字を含む可能性
const chars = Array.from(s); // コードポイント単位で分解
const rev = chars.reverse().join("");
ここが重要です：Array.from は“コードポイント”で分解するため、単純な split(“”) より安全です。さらに厳密に“書記素（グラフェム）”単位で扱いたい場合は、表示要件に応じた専用処理が必要です。
パフォーマンスと設計の指針
- 共有参照への配慮: 破壊的な reverse はバグ源になりがちです。共有される配列はコピーしてから reverse。
- 必要な部分だけ逆順に: 全体を逆順にする代わりに、slice(-N).reverse のように“必要部分だけ”を対象にするとコストを抑えられます。
- sort との違い: reverse は“現在の並びを反転”するだけ。条件順にしたいなら sort（非破壊で使うなら […arr].sort(…)）。
実践例（UI・アルゴリズム）
チャットのメッセージを最新から
const messages = [
{ id: 1, text: "Hi" },
{ id: 2, text: "Hello" },
{ id: 3, text: "Yo" }
];
const display = [...messages].reverse(); // 最新→過去
スタックを“下から”処理したい
const stack = [1,2,3]; // 3 がトップ
for (const x of [...stack].reverse()) {
// 1→2→3 の順で処理
}
履歴の巻き戻し
const history = ["state1","state2","state3"];
for (const st of [...history].reverse()) {
// 巻き戻し処理
}
まとめ
reverse は「配列の順序を逆転する」メソッドで、破壊的に元配列を書き換えます。安全に使うための鍵は“コピーしてから reverse”という非破壊パターン、疎配列の穴は位置だけ反転する点、要素オブジェクトの参照がそのまま移動する点の理解です。文字列の反転は split→reverse→join ですが、結合文字を含む可能性があるなら Array.from を使うとより安全。必要部分だけ逆順にする設計や sort との使い分けを徹底すれば、初心者でも意図通りで壊れにくい逆順処理を書けます。