空配列にするとは何か
「空配列にする」とは、配列からすべての要素を取り除いて要素数を 0 にすることです。ここが重要です：やり方によって“参照を保つ（同じ配列オブジェクトのまま空にする）”場合と、“別の配列に差し替える”場合があります。どちらを選ぶかで、他の変数やUI状態への影響が変わります。
参照を保ったまま空にする（安全に共有を守る）
length を 0 にする（最短で確実）
const a = [1, 2, 3];
a.length = 0;
console.log(a); // []
ここが重要です：同じ配列インスタンスのまま要素を消します。a を共有している他の変数（同じ参照）にも“空になった”状態が反映されます。共有が前提の状態管理で有効です。
splice で全削除（破壊的だが参照は維持）
const a = [1, 2, 3, 4];
a.splice(0); // 先頭から末尾まで削除
console.log(a); // []
ここが重要です：splice(0) は“全部消す”定番。length=0 と同様に、配列の参照はそのままです。
pop を繰り返す（必要なら取り出し値を利用）
const a = [10, 20, 30];
while (a.length) {
const x = a.pop(); // 末尾から取り出しつつ削除
// x をログや集計に使える
}
console.log(a); // []
ここが重要です：取り出しながら空にしたいときに便利です。要素順は末尾からになります。
新しい配列に置き換えて空にする（参照を切り替える）
再代入で空配列をセット
let a = [1, 2, 3];
a = []; // 新しい“空配列”に差し替え
ここが重要です：古い配列の参照を捨て、新しい空配列に差し替えます。注意点は、a と同じ配列を指していた他の変数は“古い配列のまま”になること。共有を切りたいときに向いています。
const 変数は再代入できない
const a = [1, 2, 3];
// a = []; // NG（再代入不可）
a.length = 0; // OK（中身の破棄は可能）
ここが重要です：const は“再代入禁止”ですが、“中身の変更”は可能です。参照を保ったまま空にしたいなら length=0 や splice(0) を使います。
使い分けの指針（参照維持か差し替えか）
参照維持が必要なケース
状態管理や他の変数が同じ配列参照を共有している場合、length=0 や splice(0) で“同じ配列を空にする”べきです。差し替えると共有が途切れ、UIの更新漏れや整合性崩れの原因になります。
差し替えが適切なケース
あるスコープでのみ使い切って“新しく始めたい”とき、または古い配列の参照を他所に残したくないときは a = [] が簡潔です。参照共有がない前提で使います。
部分的に空にする（先頭・末尾・範囲の削除）
先頭だけ除いた新配列（非破壊）
const a = [1, 2, 3];
const withoutFirst = a.slice(1); // [2, 3]
ここが重要です：元を壊さず“先頭を捨てた形”が作れます。差分検知に向いています。
末尾だけ除いた新配列（非破壊）
const a = [1, 2, 3];
const withoutLast = a.slice(0, -1); // [1, 2]
範囲を空にする（連続削除）
const a = [0, 1, 2, 3, 4, 5];
a.splice(2, 3); // 2〜4 を削除 → [0, 1, 5]
ここが重要です：範囲削除は splice が一撃で確実。非破壊で作りたいなら [...] と slice を組み合わせます。
よくある落とし穴と回避策
参照共有を忘れて再代入してしまう
a = [] は“別配列”に差し替えです。a を共有していた他の変数には反映されません。共有があるなら a.length = 0 や a.splice(0) を選びます。
多次元・オブジェクト配列の“浅い”空化で油断する
外側だけ空にしても、内側の参照は別変数に残っていることがあります。完全破棄したい場合は、必要に応じてガベージコレクションに任せる設計（参照を外す）、または新しい構造への置き換えで“到達可能性”を断つ発想を持ちましょう。
const で空にできないと誤解する
再代入は不可ですが、中身のクリアは可能です。a.length = 0、a.splice(0) を使います。
まとめ
空配列にする方法は大きく「参照を保って空にする（length=0、splice(0)、pop 連打）」と「新しい空配列に差し替える（a=[]）」の二つ。共有参照があるなら前者を、共有を切りたいなら後者を選びます。部分的な空化は slice（非破壊）や splice（破壊的）で実現。この使い分けを徹底すれば、初心者でも“意図通り・副作用なし”で配列を空にできます。