3日目のゴールと今日やること
3日目のテーマは
「Datamuse API アプリを“使っていて気持ちいいツール”に近づける」 ことです。
技術的な柱は、いつも通りこの 3 つです。
- fetch
- Promise / async-await
- エラーハンドリング
ただし今日は、それを 「入力補助」「サジェスト」「履歴」 という“アプリらしい機能”に結びつけていきます。
今日やることのイメージはこうです。
- 入力中にサジェスト(前方一致)を出す
- 選んだサジェストで本検索をする
- 検索履歴を残して、クリックで再検索できるようにする
- ローディング表示とエラーハンドリングを、この流れにきれいに組み込む
新しい文法はほぼ出てきません。
2日目までに作った「型」をどう応用するか がテーマです。
Datamuse の「前方一致」をサジェストに使う
サジェストに使うエンドポイント
サジェスト(入力補助)に使うのは、
Datamuse の sp パラメータです。
sp=
「このパターンにマッチする単語」を返します。* がワイルドカードです。
例:
sp=ap*→ ap で始まる単語sp=*ing→ ing で終わる単語
今回は、
「入力した文字で始まる単語」 をサジェストに使います。
https://api.datamuse.com/words?sp=ap*&max=10
入力中にサジェストを出す流れを考える
やりたいことの流れ
やりたいことを、人間の言葉で書くとこうです。
- ユーザーが入力欄に文字を打つ
- すぐに API を叩くのではなく、少し待つ(デバウンス)
- 一定時間入力が止まったら、
sp=で Datamuse に問い合わせる - 返ってきた候補を「サジェスト欄」に表示する
- サジェストをクリックしたら、その単語で本検索をする
この流れを、fetch / async-await / エラーハンドリングの型に落としていきます。
デバウンスで「打つたびに API 連打」を防ぐ
デバウンスの基本
デバウンスは、
「最後の入力から◯ミリ秒経つまで待ってから処理を実行する」
というテクニックです。
JavaScript では、こう書きます。
let suggestTimer = null;
wordInput.addEventListener("input", () => {
const text = wordInput.value.trim();
clearTimeout(suggestTimer);
if (!text) {
suggestDiv.innerHTML = "";
return;
}
suggestTimer = setTimeout(() => {
fetchSuggestions(text);
}, 400);
});
JavaScriptここでのポイントは 2 つです。
1つ目は、clearTimeout で前のタイマーを消していること。
これにより、「入力のたびに API を叩く」のではなく、
「入力が止まったタイミングで 1 回だけ叩く」 という動きになります。
2つ目は、入力が空になったらサジェストを消していること。
これで UI がスッキリします。
サジェスト用の fetch 関数を作る
サジェスト専用の関数
async function fetchSuggestions(text) {
const pattern = `${text}*`;
const url = `https://api.datamuse.com/words?sp=${encodeURIComponent(pattern)}&max=8`;
suggestDiv.textContent = "候補を取得中…";
try {
const response = await fetch(url);
if (!response.ok) {
suggestDiv.textContent = "候補の取得に失敗しました。";
return;
}
const data = await response.json();
if (!Array.isArray(data) || data.length === 0) {
suggestDiv.textContent = "候補はありません。";
return;
}
renderSuggestions(data);
} catch (error) {
suggestDiv.textContent = "候補の取得中に通信エラーが発生しました。";
console.error(error);
}
}
JavaScriptここでも、2日目と同じパターンを使っています。
- fetch
- response.ok チェック
- JSON パース
- Array.isArray チェック
- length === 0 のときは「該当なし」扱い
- catch でネットワークエラー
やっていることは同じですが、
「本検索」ではなく「サジェスト」に使っている だけです。
サジェストをクリックできる UI にする
サジェストの描画
function renderSuggestions(data) {
let html = "<h4>候補</h4>";
data.forEach((item, index) => {
html += `<p class="suggest-item" data-word="${item.word}">${item.word}</p>`;
});
suggestDiv.innerHTML = html;
const items = suggestDiv.querySelectorAll(".suggest-item");
items.forEach((el) => {
el.addEventListener("click", () => {
const w = el.dataset.word;
wordInput.value = w;
suggestDiv.innerHTML = "";
fetchWords(); // 本検索を実行
});
});
}
JavaScriptここでの大事なポイントは、
- サジェストは「ただの文字列」ではなく「クリックできる要素」にしている
- クリックしたら入力欄に反映し、そのまま本検索を呼んでいる
というところです。
fetchWords() は、2日目で作った「本検索」の関数です。
サジェストからも、ボタンからも、同じ関数を呼ぶ ことで、
コードの重複を防いでいます。
検索履歴を追加して「再検索」を簡単にする
履歴の構造を決める
履歴には、最低限これだけあれば十分です。
- 検索した単語
- モード(ml / rel_trg / rel_rhy)
JavaScript では、こう持ちます。
const history = [];
const historyDiv = document.getElementById("history");
JavaScript履歴を追加する関数
function addHistory(word, mode) {
history.unshift({ word, mode });
if (history.length > 10) {
history.pop();
}
renderHistory();
}
JavaScriptunshift は配列の先頭に追加するメソッドです。
「新しいものが上に来る」履歴になります。
履歴を表示して、クリックで再検索できるようにする
履歴の描画
function renderHistory() {
if (history.length === 0) {
historyDiv.textContent = "検索履歴はまだありません。";
return;
}
let html = "<h3>検索履歴</h3>";
history.forEach((item, index) => {
const label = getModeLabel(item.mode);
html += `
<p class="history-item" data-index="${index}">
${item.word}(${label})
</p>
`;
});
historyDiv.innerHTML = html;
const items = historyDiv.querySelectorAll(".history-item");
items.forEach((el) => {
el.addEventListener("click", () => {
const index = el.dataset.index;
const h = history[index];
wordInput.value = h.word;
modeSelect.value = h.mode;
fetchWords();
});
});
}
JavaScriptここでも、
「履歴から再検索するときも fetchWords を呼ぶ」
という形にしています。
これで、
- ボタン
- サジェスト
- 履歴
どこから検索しても、
同じロジックが動く ことになります。
本検索側に「履歴追加」を組み込む
2日目の fetchWords に 1 行足すだけ
2日目の fetchWords の成功パートに、
履歴追加を 1 行足します。
statusDiv.textContent = `${modeLabel}の取得に成功しました。`;
renderWords(data, modeLabel);
addHistory(word, mode);
JavaScriptこれで、
検索が成功したときだけ履歴に残る
という自然な動きになります。
ローディング表示とサジェスト・履歴の関係
本検索とサジェストはローディングの扱いを分ける
本検索は「メインの処理」なので、
ローディング表示とボタン無効化を行います。
サジェストは「補助的な処理」なので、
ボタンは無効化せず、サジェスト欄だけに
「候補を取得中…」と出す程度に留めています。
このように、
「どの処理にどれくらいのローディングを付けるか」
を考えるのも、アプリ設計の一部です。
通信失敗時の分岐を“ユーザー目線”で整理する
本検索の失敗パターン
本検索(fetchWords)では、
次のように分岐しています。
- 入力が空 → 「単語を入力してください」
- HTTP エラー → 「サーバーエラーが発生しました。(ステータス)」
- データ形式がおかしい → 「予期しない形式のデータが返されました」
- 件数 0 → 「◯◯が見つかりませんでした」
- ネットワークエラー → 「通信に失敗しました。ネットワークを確認してください」
これらはすべて、
「ユーザーが状況をイメージできる日本語」
になっています。
サジェストの失敗パターン
サジェスト(fetchSuggestions)では、
少し軽めのメッセージにしています。
- HTTP エラー → 「候補の取得に失敗しました」
- 件数 0 → 「候補はありません」
- ネットワークエラー → 「候補の取得中に通信エラーが発生しました」
サジェストは「なくても致命的ではない」機能なので、
本検索よりも軽い扱いにしているわけです。
3日目のまとめ
3日目でやったことを、言葉で整理してみます。
Datamuse の sp パラメータを使って、
入力中にサジェストを出す機能 を作った。
サジェストはデバウンスを使って、
「入力が止まったタイミングでだけ API を叩く」ようにした。
サジェストをクリックすると、
入力欄に反映して、そのまま本検索(fetchWords)を呼ぶようにした。
検索履歴を配列で管理し、
成功した検索だけを履歴に追加するようにした。
履歴をクリックすると、
単語とモードを復元して再検索できるようにした。
本検索・サジェスト・履歴のどこからでも、
同じ fetchWords が呼ばれる構造 にした。
エラーハンドリングは、
- 本検索 → しっかりめのメッセージ
- サジェスト → 軽めのメッセージ
というように、
「機能の重要度に応じて出し分けた」。
今日いちばん深く理解してほしいこと
3日目の本質は、
「同じ fetch / async/await / try-catch の型を、どれだけいろんな機能に応用できるか」
というところにあります。
サジェスト
履歴
再検索
モード切り替え
これらは全部、
2日目までに作った“型”の上に乗っているだけ です。
「新しい API を覚える」のではなく、
「同じ型をどう再利用するか」 を考え始めている時点で、
もう初心者の段階は抜けつつあります。
4日目では、この Datamuse アプリに
「お気に入り」「ローカルストレージ保存」「状態管理」などを足して、
さらに“アプリらしさ”を育てていきます。


