この 7 日間で目指すゴール
この「超初級編」では、
たった 7 日 × 1 日 30 分で「自分の手で動くミニアプリ」を作れるところまで行きます。
難しい理論は一旦置いておき、次の三つだけを大事にします。
自分の手でコードを書く
書いたら必ず動かして結果を見る
よく分からなくても、とりあえず最後まで真似して動かしてみる
最終日のゴールは「おみくじ or ランダム一言メッセージ」のような、
超シンプルな JavaScript ミニアプリです。
ブラウザの中だけで完結するので、インストールは不要です。
Day 1: 「JavaScript が動く」体験をする
開発環境をゼロから用意する
まずは「JavaScript をどこで書いて動かすか」です。
一番簡単なのはブラウザの「コンソール」です。
- Chrome や Edge などのブラウザを開く
- 適当なページ(Google でも Yahoo! でも OK)を開く
- 画面のどこかで右クリック → 検証(または「開発者ツール」)
- 右側や下に出てきたパネルの上のタブから「Console(コンソール)」を押す
この黒い(または白い)画面に JavaScript を書いて Enter を押すと、その場で動きます。
ここがこの 7 日間の「練習ノート」です。
最初の一行を書いてみる
コンソールに次を打って、Enter を押してください。
console.log("はじめての JavaScript");
JavaScript下に
はじめての JavaScript
と表示されれば成功です。
ここで一つずつ意味を分解します。
console
ブラウザに「メッセージを出すための道具箱」の名前です。
.log
その道具箱の中の「メッセージを表示する」機能の名前です。
("はじめての JavaScript")
表示したい中身です。
ダブルクォーテーション " で囲まれたものを「文字列」と呼びます。
;
この行はここで終わり、という印です(初心者のうちは付けておく方が安心です)。
今は「全部覚えよう」としなくて大丈夫です。
ただ一つ、「自分が打った文字が画面に出る」という感覚だけ覚えてください。
数を計算させてみる
同じコンソールで、次も試してください。
console.log(3 + 5);
JavaScript8 と表示されます。
もう少し試します。
console.log(10 - 2);
console.log(4 * 3);
console.log(20 / 5);
console.log(2 + 3 * 4);
JavaScriptここで感じてほしいのは、「JavaScript は電卓みたいに計算してくれるんだな」ということだけです。
Day 1 は「コンソールで遊ぶことに慣れる」が目的です。
Day 2: 変数(情報に名前をつける)
変数とは何かをイメージでつかむ
変数は「値をしまっておくラベル付きの箱」です。
例えば「年齢」という箱をつくって、その中に 20 という数字を入れる、というイメージです。
コンソールで次を打ってみてください。
let age = 20;
console.log(age);
JavaScript20 と表示されれば OK です。
ここで大事な 3 つのポイントをしっかり押さえます。
let
「これから変数を作りますよ」という合図です。
age
その箱の名前です。好きな名前でよいですが、意味が分かる名前にするのがおすすめです。
=
「右側の値を左側の変数に入れる」という意味です。
数学の「=」と似ているけれど、「同じ」というより「代入する」というニュアンスです。
値を変えてみる(変数が「変わる」感覚)
同じコンソールで続けてこう書きます。
age = 25;
console.log(age);
JavaScript今度は 25 と表示されます。
同じ age という箱の中身が 20 から 25 に変わったわけです。
「変数」という名前の通り、中身が「変わる箱」だとイメージしてください。
文字と数字の違いを体験する
次の 2 つを見比べてください。
console.log(10 + 20);
console.log("10" + "20");
JavaScript上は 30
下は "1020" と表示されます。
なぜかというと、
数字だけ → 足し算
クォーテーションで囲んだ文字 → つなげる
という違いがあるからです。
超重要ポイントはこれです。
数字として扱いたいときはクォーテーションを付けない
文字として扱いたいときはクォーテーションを付ける
この区別が身につくだけで、初歩的なバグをかなり減らせます。
例題:自己紹介メッセージを作る
コンソールで次を書いてみてください。
let name = "Taro";
let age2 = 22;
let message = "私の名前は " + name + " です。年齢は " + age2 + " 歳です。";
console.log(message);
JavaScriptage という名前はさっき使ったので、ここでは age2 にしています。
表示された文章を見て、「文字列」と「変数」を + でくっつけると、
一つの長い文章が作れることを感じてください。
Day 3: 条件分岐 if(状況によって動きを変える)
if の基本形を覚える
「もし 〜 なら 〜 する」というのが if 文です。
形だけ先に見てください。
if (条件) {
// 条件が true のときに実行される部分
}
JavaScriptこの「条件」は、結果が true(真)か false(偽)になる式です。
コンソールで次を書いてみてください。
let age = 18;
if (age >= 18) {
console.log("大人です");
}
JavaScript>= は「以上」という意味です。
この場合、age は 18 なので age >= 18 は true になり、
中の console.log("大人です"); が実行されます。
if と else で二択を作る
「大人か、未成年か」の二択にしてみましょう。
let age = 16;
if (age >= 18) {
console.log("大人です");
} else {
console.log("未成年です");
}
JavaScriptここでは age が 16 なので、条件 age >= 18 は false になり、else の中が実行されて「未成年です」と表示されます。
ここで感じてほしいのは、
「JavaScript が自分で判断して、どっちの道を通るか決めている」ということです。
例題:60 点以上なら合格、それ以外は不合格
次を試してみてください。
let score = 72;
if (score >= 60) {
console.log("合格です!");
} else {
console.log("不合格です…");
}
JavaScriptscore の値を 30 や 100 に変えて、それぞれどうなるか試してみてください。
数字を変えるだけで結果が変わる感覚が「プログラムらしさ」です。
Day 4: 関数(よく使う処理に名前をつける)
関数のイメージをつかむ
関数は「手順のまとまり」に名前を付けたものです。
例えば「挨拶する」という処理に名前を付けておいて、呼びたいときに呼ぶ、というイメージです。
基本の形はこうです。
function 関数名() {
// 実行したい処理
}
JavaScriptまずはシンプルな挨拶関数を作ります。
function greet() {
console.log("こんにちは!");
}
greet();
greet();
JavaScriptここで大事なのは、
上の部分は「関数の定義」
下の greet(); が「関数の呼び出し」
ということです。
ただ「作っただけ」では実行されず、「呼び出したとき」に動きます。
引数(ひきすう)で入力を渡す
今度は「誰に挨拶するか」を変えられるようにしてみましょう。
function greet(name) {
console.log("こんにちは、" + name + " さん!");
}
greet("Taro");
greet("Hanako");
JavaScriptこの name が「引数」です。greet("Taro") と書くと、"Taro" という値が関数の中の name に渡されます。
「関数に入力を渡すと、処理の中で使えるようになる」という感覚をつかんでください。
return で結果を返す
次は「足し算の結果を返す関数」を作ってみます。
function add(a, b) {
let result = a + b;
return result;
}
let sum = add(3, 5);
console.log(sum);
JavaScript超重要ポイントです。
return は「関数の外に値を返す」ためのキーワードです。return の行に来た時点で、その関数の処理はそこで終わります。
関数の中で計算をして、その結果だけ外に返す、という考え方は、
これからアプリを作るときに何度も出てきます。
Day 5: prompt と alert で「ユーザーと会話」する
ここから少し「アプリっぽさ」が出てきます。
ユーザーから入力をもらったり、ポップアップでメッセージを出したりします。
alert でメッセージを出す
コンソールに次を書いてみてください。
alert("JavaScript の世界へようこそ!");
JavaScriptブラウザに小さなダイアログが出てくるはずです。
これが alert です。「ポップアップでお知らせを出す」イメージです。
prompt で入力をしてもらう
次は、ユーザーに名前を入力してもらいます。
let name = prompt("あなたの名前を教えてください");
console.log("入力された名前: " + name);
JavaScriptダイアログに名前を入力して OK を押すと、
コンソールにその名前が表示されます。
ここでのポイントは、
prompt(...) の結果(文字列)が、そのまま変数 name に入る
ということです。
つまり「ユーザーの入力を、プログラムの中で使えるようになる」ということです。
例題:名前を聞いて挨拶するミニアプリ
ここまでを組み合わせて、小さなアプリにしてみましょう。
function askNameAndGreet() {
let name = prompt("あなたの名前を教えてください");
alert("こんにちは、" + name + " さん!");
}
askNameAndGreet();
JavaScript実行の流れはこうです。
関数 askNameAndGreet を定義するaskNameAndGreet(); で関数を呼び出す
prompt で名前を入力してもらう
その名前を使って alert で挨拶する
ここまでできたら、もう立派に「簡単なアプリ」を作ったことになります。
Day 6: ランダムと配列で「おみくじ」の材料を作る
最終日のミニアプリを作るために、
「ランダムに一つ選ぶ」というテクニックを身に付けます。
Math.random でランダムな数を作る
コンソールで何回か次を打ってみてください。
console.log(Math.random());
JavaScript毎回、0 以上 1 未満の小数がランダムに出てきます。
これを少し工夫すると、「0, 1, 2 のどれか」をランダムに作れます。
let r = Math.random() * 3;
console.log(r);
JavaScript0〜3 の間の小数 が出てきます。
ここで Math.floor という「小数点以下切り捨て」を使います。
let index = Math.floor(Math.random() * 3);
console.log(index);
JavaScript何回か実行すると、0 か 1 か 2 がランダムに出てくるのが分かるはずです。
配列を使って「候補の中から選ぶ」
ランダムにインデックス(番号)が作れるようになったので、
今度は「候補の一覧」を配列で用意します。
let fortunes = ["大吉", "中吉", "小吉"];
let index = Math.floor(Math.random() * 3);
let result = fortunes[index];
console.log("今日の運勢は " + result + " です!");
JavaScriptここでの流れはこうです。
fortunes という配列に 3 つの候補を入れる
0〜2 のどれかのインデックスをランダムに作る
そのインデックスを使って、配列から 1 つ取り出す
これが「おみくじアプリ」の一番大事な部分です。
重要ポイントの再確認
ランダムの作り方を整理します。
0〜1 の小数を作る → Math.random()
0〜3 の小数を作る → Math.random() * 3
0,1,2 のどれかの整数にする → Math.floor(Math.random() * 3)
配列 fortunes から 1 つ選ぶ → fortunes[その数字]
ここが分かると、
「ランダムで一言メッセージを出す」「ラッキーアイテムを選ぶ」など、
いろいろ応用できるようになります。
Day 7: 超シンプル「おみくじアプリ」を完成させる
いよいよミニアプリを作ります。
やることは、ここまでの要素の組み合わせだけです。
ステップ 1: おみくじを引く関数を作る
コンソールに次をまとめて書いてください。
function drawFortune() {
let fortunes = ["大吉", "中吉", "小吉", "末吉", "凶"];
let index = Math.floor(Math.random() * fortunes.length);
let result = fortunes[index];
alert("今日の運勢は「" + result + "」です!");
}
JavaScriptここでのポイントを丁寧に見ていきます。
fortunes.length
配列の要素数です。今は 5 なので fortunes.length は 5 になります。
こうしておけば、配列の中身を増やしたときにも自動で対応できます。
Math.floor(Math.random() * fortunes.length)
0〜1 の小数
→ 0〜5 の小数(* fortunes.length)
→ 0〜4 の整数に切り捨て(Math.floor)
という流れです。
alert(...)
結果をポップアップで表示します。
ステップ 2: 関数を呼び出して動かす
関数を書いただけでは動かないので、最後に一行追加します。
drawFortune();
JavaScriptこれで、今日の運勢がポップアップで出るはずです。
何度か上下キーで drawFortune(); を呼び出して、
毎回結果が変わるのを楽しんでみてください。
応用 1: メッセージを増やして遊ぶ
fortunes の中身を、自分好みに変えてみてください。
let fortunes = [
"今日は新しいことを始めるチャンス",
"ゆっくり休むといいアイデアが出る",
"身近な人を大事にすると運気アップ",
"いつもより 5 分早く動いてみよう",
"失敗しても一歩前進している証拠"
];
JavaScriptこんなふうに、自分へのメッセージツールとして使うのも面白いです。
超初級の段階でも、「実用っぽいもの」がちゃんと作れます。
応用 2: 名前を聞いてから占う
Day 5 の prompt を組み合わせてみましょう。
function drawFortuneWithName() {
let name = prompt("あなたの名前を教えてください");
let fortunes = ["大吉", "中吉", "小吉", "末吉", "凶"];
let index = Math.floor(Math.random() * fortunes.length);
let result = fortunes[index];
alert(name + " さんの今日の運勢は「" + result + "」です!");
}
drawFortuneWithName();
JavaScriptこれで、「名前を入力 → 占い結果が出る」という、
完全にアプリっぽい流れができあがります。
この 7 日間のあとにやると良いこと
ここまで来たら、すでに
変数
if 文
関数
配列
ランダム
alert / prompt
といった、アプリづくりの土台を一通り触っています。
次のステップとしておすすめなのは、
HTML でボタンを作る
JavaScript からボタンのクリックに反応する
結果をポップアップではなく、画面の中(文字として)に表示する
といった「画面付きアプリ」に進むことです。

