最初の7日間で「Pythonで小さなアプリを自力で書ける」状態までを目標にします。
毎日「読む→真似して打つ→自分で少し変えてみる」の流れで、だいたい60分を想定しています。
1日目:Pythonって何?最初の一歩と「print」
今日のゴール
Pythonの動かし方と、画面に文字や数字を表示する基本「print」を理解します。
コードを書くときの「怖さ」をとにかく減らす日です。
Pythonプログラムの正体を知る
Pythonのファイルは、ただのテキストです。
メモ帳のようなエディタで
print("こんにちは、Python")
Pythonのように書いて保存し、Pythonに「このファイルを実行して」とお願いすると、Pythonが一行ずつ読んで動かします。
「Pythonに命令を並べたメモ」がプログラムだとイメージしてください。
最初のコード:Hello, World
新しいファイルを作って、次のように書いてみてください。
print("Hello, World!")
Python保存して実行すると、画面に
Hello, World!
と出ます。
ここで押さえておきたいポイントは3つです。
1つ目のポイント:printは「表示しろ」という命令
print は「かっこの中身を画面に出して」という命令です。
print("こんにちは")
print(123)
Pythonこれは
- 「文字列(文字のならび)を表示」
- 「数値を表示」
という意味になります。
2つ目のポイント:かっこ () の中が「printの対象」
print("A", "B", "C")
Pythonとかくと、"A" と "B" と "C" が並んで表示されます。
A B C
かっこの中に何を書くかで、結果が変わるとイメージしてください。
3つ目のポイント:ダブルクォーテーション " " の意味
print("123")
print(123)
Python上の2つは、見た目は似ていますが意味が違います。
"123"は「文字としての 123」123は「数字としての 123」
です。今日は「文字は " " で囲む」とだけ覚えておけばOKです。
1日目の練習
次のようなプログラムを自分で作ってみてください。
例題1:自己紹介をプリントする
print("私の名前は山田です")
print("趣味はゲームです")
print("Pythonを勉強中です")
Python例題2:簡単な日記をプリントする
print("2025年12月27日")
print("今日はPythonの勉強を始めた")
print("少し不安だけど、ワクワクもしている")
Python行を増やしたり、文章を変えたりして、自由に遊んでみてください。
2日目:変数とデータ型(数字と文字)
今日のゴール
「変数は、名前のついた箱」という感覚をつかみ、
数字と文字を変数に入れて使えるようになります。
変数って何者?
変数は「値を入れておく箱」だと思ってください。
箱には「名前」をつけられます。
age = 25
name = "太郎"
Pythonこれは、
ageという箱に25を入れるnameという箱に"太郎"を入れる
という意味です。
後で print(age) や print(name) と書けば、その中身を取り出せます。
age = 25
name = "太郎"
print(age) # 25
print(name) # 太郎
Python重要ポイント:イコール = の本当の役割
数学の = は「左と右が等しい」という意味ですが、
プログラミングの = は「右の値を左の変数に入れる」という意味です。
x = 10
x = x + 5
Python2行目は、「今のxの値(10)に5を足して、その結果(15)をもういちどxに入れ直す」という意味です。
だから、print(x) は 15 になります。
ここが初学者がつまずきやすいポイントなので、コードを変えながら何度も打ってみてください。
数字と文字の違いを体感する
数字(数値)の例:
price = 120
tax = 10
total = price + tax
print(total) # 130
Python文字列の例:
first_name = "山田"
last_name = "太郎"
full_name = first_name + last_name
print(full_name) # 山田太郎
Python数字の + は「足し算」、
文字の + は「くっつける(連結)」になります。
2日目の練習
例題1:買い物の合計金額
apple_price = 120
banana_price = 150
total_price = apple_price + banana_price
print("合計金額は")
print(total_price)
print("円です")
Python例題2:自己紹介文を変数から作る
name = "佐藤"
age = 30
message = name + "さんは" + str(age) + "歳です"
print(message)
Pythonここで出てきた str(age) は、「数字を文字に変換する」命令です。
数字と文字を + でつなぐときは、片方を str() で文字に変える必要があります。
3日目:inputで「会話」するプログラム
今日のゴール
キーボードから値を入力して、その値を使って動くプログラムを作れるようになります。
inputの基本
input は「ユーザーに何か聞く」命令です。
name = input("あなたの名前は?:")
print("こんにちは、" + name + "さん")
Python実行すると、画面に
あなたの名前は?:
と出て、入力待ちになります。
名前を打って Enter を押すと、その文字が name に入り、あいさつ文が表示されます。
重要ポイント:inputの戻り値は「文字列」
input が返す値は、必ず「文字(文字列)」です。
age = input("あなたの年齢は?:")
print(age + 5) # ← これはエラー
Pythonこれはエラーになります。age は文字列だから、数字の 5 と足し算はできません。
数字として扱いたいときは、int() で整数に変換します。
age_text = input("あなたの年齢は?:")
age = int(age_text)
next_year = age + 1
print("来年は" + str(next_year) + "歳ですね")
Pythonここで大切なのは、
input→ 文字列- 数字にしたい →
int(文字列) - 逆に文字にしたい →
str(数字)
という変換の流れです。
3日目の練習
例題1:簡単な足し算アプリ
a_text = input("1つ目の数字を入力してください:")
b_text = input("2つ目の数字を入力してください:")
a = int(a_text)
b = int(b_text)
answer = a + b
print("合計は" + str(answer) + "です")
Python例題2:自己紹介メッセージジェネレーター
name = input("名前を入力してください:")
hobby = input("趣味を入力してください:")
message = "私は" + name + "です。趣味は" + hobby + "です。"
print(message)
Python文章を工夫して、自分っぽいメッセージを出してみてください。
4日目:if文で「条件分岐」してみる
今日のゴール
「もし〜なら〜する」という処理が書けるようになります。
ここから一気に「アプリっぽさ」が出てきます。
if文の基本形
シンプルな形はこうです。
if 条件:
条件が本当のときに実行する処理
PythonPythonでは、行頭のインデント(空白・タブでの字下げ)がとても重要です。if の行の下を、スペース4つぶん右にずらして書くことで、「このブロックは if に属しています」という意味になります。
例:
age = int(input("あなたの年齢は?:"))
if age >= 20:
print("お酒を飲める年齢です")
Python重要ポイント:インデントは「かたまり」を表す
次の2つは、意味がまったく違います。
age = int(input("年齢は?:"))
if age >= 20:
print("成人です")
print("お酒を飲めます")
Pythonこの場合、age >= 20 のときに2行とも実行されます。
age = int(input("年齢は?:"))
if age >= 20:
print("成人です")
print("お酒を飲めます")
Pythonこちらは、
ifの条件に関係なく、最後のprint("お酒を飲めます")が必ず実行されます。
インデントの位置で「どこまでが if の中か」が決まる、という感覚をここでしっかり掴んでください。
if / else / elif
条件が偽のときに別の処理をしたい場合は else を使います。
age = int(input("年齢は?:"))
if age >= 20:
print("成人です")
else:
print("未成年です")
Python条件が2つ以上あるときは elif を使います。
score = int(input("点数を入力してください:"))
if score >= 80:
print("よくできました")
elif score >= 60:
print("合格です")
else:
print("残念でした")
Python上から順に条件をチェックして、最初に当てはまったところだけが実行されます。
4日目の練習
例題1:年齢でメッセージを変える
- 0〜12歳:「子どもです」
- 13〜19歳:「ティーンです」
- 20歳以上:「大人です」
というメッセージを出すプログラムを書いてみてください。
例(答えの一例):
age = int(input("年齢は?:"))
if age <= 12:
print("子どもです")
elif age <= 19:
print("ティーンです")
else:
print("大人です")
Python区切りの数字やメッセージを自分なりに変えて、遊んでみましょう。
5日目:whileとforで「繰り返し」を覚える
今日のゴール
同じ処理を何度も繰り返す「ループ」の基本を理解します。
while文:条件が真の間、繰り返す
while は「〜の間、繰り返す」です。
count = 1
while count <= 5:
print(count)
count = count + 1
Pythonこのプログラムは、
countが 1 から始まるcount <= 5が本当の間、print(count)を実行してからcountに 1 を足す- 6 になったら条件が偽になるので終了
という流れで、1〜5を表示します。
ここで大事な2点は、
- どこかで条件が偽になるように、変数を変化させる
- それを忘れると「無限ループ」になる(永遠に終わらない)
ということです。
for文:決まった回数をきっちり回す
for は「何回かきっちり回したい」ときに便利です。
for i in range(5):
print(i)
Pythonrange(5) は、「0, 1, 2, 3, 4」という5つの数字の集まりです。for i in range(5): は、「その集まりから1つずつ i に取り出して、ブロックを実行する」という意味になります。
つまり、画面には
0
1
2
3
4
と出ます。
1〜5にしたい場合はこう書きます。
for i in range(1, 6):
print(i)
Pythonrange(開始, 終了の手前まで) というルールです。
5日目の練習
例題1:あいさつを3回表示
for i in range(3):
print("こんにちは")
Python例題2:1〜10の合計を計算する
total = 0
for i in range(1, 11):
total = total + i
print("合計は" + str(total) + "です")
Pythontotal = total + i の意味がピンとこなければ、紙に書いて追いかけてみてください。
「今のtotalに i を足して、またtotalに入れる」という繰り返しです。
6日目:リスト(配列)とforの組み合わせ
今日のゴール
複数の値をまとめて扱う「リスト」を理解し、for文で1つずつ処理できるようになります。
リストの基本
リストは「順番つきの箱の並び」です。
scores = [80, 90, 75]
names = ["佐藤", "鈴木", "高橋"]
Python[] の中に、カンマ区切りで値を並べます。
1つずつ取り出すには「インデックス(番号)」を使います。
番号は0から始まります。
scores = [80, 90, 75]
print(scores[0]) # 80
print(scores[1]) # 90
print(scores[2]) # 75
Pythonforと組み合わせて全部処理する
リストの中身を1つずつ処理するとき、for がとても便利です。
scores = [80, 90, 75]
for score in scores:
print(score)
Pythonこれは、「scoresの中から1つずつ取り出して、scoreという変数に入れ、printする」という意味です。
重要ポイント:forの「入れ物」の名前は自由
for score in scores:
Pythonの score は、好きな名前で構いません。
for s in scores:
Pythonでも動きます。
ただし、意味の分かる名前をつけた方が、後で読みやすくなります。
6日目の練習
例題1:リストの名前を順に表示
names = ["佐藤", "鈴木", "高橋"]
for name in names:
print(name + "さん、こんにちは!")
Python例題2:点数リストの平均を求める
scores = [80, 90, 75, 60]
total = 0
for score in scores:
total = total + score
average = total / len(scores)
print("平均点は" + str(average) + "点です")
Pythonここで出てきた len(scores) は、「リストの長さ」を返す関数です。
要素の個数を自動で数えてくれます。
7日目:超簡単アプリを作ってみる(ミニ診断アプリ)
今日のゴール
これまで学んだ print, 変数, input, if, for, リストを組み合わせて、小さなアプリを完成させます。
ここでは例として「簡単な性格診断アプリ」を作ります。
実用性よりも、「つなぎ合わせて1つの作品にする」ことが目的です。
アプリの流れを日本語で考える
コードを書く前に、日本語で流れを書き出します。
- あいさつを表示
- ユーザーの名前を聞く
- いくつかの質問をする(Yes/No)
- 回答の数に応じてメッセージを変える
- 結果を表示する
この「日本語でアルゴリズムを書く」作業が、実はとても重要です。
いきなりコードから入らない、という癖をつけると上達が早くなります。
コード全体(まずはコピペでOK)
print("簡単性格診断アプリへようこそ!")
name = input("あなたの名前を入力してください:")
print(name + "さん、こんにちは。これから3つの質問をします。")
print("y か n で答えてください。")
questions = [
"新しいことに挑戦するのが好きですか?",
"一人の時間もわりと好きですか?",
"計画を立てて物事を進める方ですか?"
]
yes_count = 0
for q in questions:
answer = input(q + " (y/n):")
if answer == "y":
yes_count = yes_count + 1
elif answer == "n":
pass
else:
print("y か n で答えてください。(今回はカウントしません)")
print("診断結果:")
if yes_count == 3:
print("とても計画的でチャレンジ精神のあるタイプです!")
elif yes_count == 2:
print("バランスのよいタイプです!")
elif yes_count == 1:
print("マイペースに進むタイプかもしれません。")
else:
print("自分の世界を大事にするタイプかもしれません。")
print(name + "さん、診断は以上です。ありがとうございました!")
Python重要部分を分解して理解する
質問をリストでまとめる
questions = [
"新しいことに挑戦するのが好きですか?",
"一人の時間もわりと好きですか?",
"計画を立てて物事を進める方ですか?"
]
Pythonここでは3つの質問を、リストでまとめています。
質問を増やしたければ、このリストに文字列を追加するだけで済みます。
forで質問を1つずつ出す
for q in questions:
answer = input(q + " (y/n):")
Pythonquestions の中から順に取り出して、q という変数に入れています。
その q を input のメッセージに使うことで、同じ形の質問を繰り返せます。
yの数をカウントする
yes_count = 0
if answer == "y":
yes_count = yes_count + 1
Pythonyes_count は「Yesの数を数えるカウンター」です。
Yesのたびに1ずつ増やしていき、最後に合計で診断します。
結果の分岐
if yes_count == 3:
...
elif yes_count == 2:
...
elif yes_count == 1:
...
else:
...
PythonYesの数によって、結果メッセージを変えています。
ここを書き換えることで、アプリの「性格」が変わります。
発展:自分なりに改造してみる
時間が余ったら、次のような改造をしてみてください。
- 質問を5個に増やす
- 結果パターンをもっと細かくする
- 名前を結果メッセージにも入れる
- 質問文やメッセージを全部自分の言葉に変える
ここまでできれば、「超初級」は十分クリアです。
この7日間のあと、どう続けるか
ここから先は、
- 関数(
def)で処理をまとめる - ファイルに保存したり読み込んだりする
- 外部ライブラリを使ってみる
などに進んでいくと、できることが一気に広がります。


