1日目のゴールと全体像
この7日間の学習では、Pythonで「電卓アプリ」を作りながら、自然に文法を身につけていくことを目標にします。 1日目のテーマは、電卓アプリの“土台”になる5つの要素です。
変数 条件分岐 繰り返し 関数 ファイル操作
これらは、Pythonだけでなく、ほぼすべてのプログラミング言語で「基礎の柱」となる考え方です。 電卓というシンプルな題材を使うことで、初心者でもイメージしやすく、すぐに動くコードを書けるようになります。
変数とは何か(電卓の「メモリ」として考える)
変数は「値に名前をつける仕組み」
変数は、プログラムの中で「値に名前をつけて覚えておくための箱」のようなものです。 電卓でいうと「メモリ機能」に近いイメージです。
例えば、足し算をするときに、2つの数字を変数に入れてみます。
a = 10
b = 5
result = a + b
print(result)
Pythonここで重要なのは、a や b や result は「ただのラベル」だということです。 a という名前の箱に 10 が入っている、b に 5 が入っている、result に a + b の結果が入っている、というイメージです。
初心者がよくやってしまうのは、「変数名を適当にする」ことです。 例えば、x, y, z ばかり使ってしまうと、コードを読んだときに「何の値なのか」が分かりにくくなります。
電卓アプリなら、次のような名前のほうが分かりやすくなります。
first_number = 10
second_number = 5
sum_result = first_number + second_number
print(sum_result)
Pythonこのように、変数名は「自分や他人が読んだときに意味が分かる名前」にすることがとても重要です。 変数は、電卓アプリの中で「入力された数字」「計算結果」「選ばれた操作(足し算・引き算など)」を覚えておく役割を持ちます。
条件分岐とは何か(電卓の「モード切り替え」として考える)
条件分岐は「もし〜なら〜する」という考え方
条件分岐は、プログラムに「状況によって動きを変える」力を与えます。 電卓でいうと、「ユーザーが選んだ操作によって計算方法を変える」イメージです。
Pythonでは、if 文を使って条件分岐を書きます。
operation = "+" # ユーザーが選んだ操作だと仮定
a = 10
b = 5
if operation == "+":
result = a + b
elif operation == "-":
result = a - b
else:
result = None
print("対応していない操作です")
print(result)
Pythonここで重要なのは、if の条件部分です。
operation == "+" は、「operation が ‘+’ と等しいか?」という意味です。 この条件が True(真)なら、そのブロックの中身が実行されます。
電卓アプリでは、次のような流れを作ることができます。
- ユーザーに操作を入力してもらう(
+,-,*,/など) if文で操作の種類を判定する- それぞれの操作に応じた計算を行う
例えば、簡単なテンプレートは次のようになります。
operation = input("操作を入力してください (+, -, *, /): ")
a = int(input("1つ目の数字: "))
b = int(input("2つ目の数字: "))
if operation == "+":
result = a + b
elif operation == "-":
result = a - b
elif operation == "*":
result = a * b
elif operation == "/":
result = a / b
else:
print("不正な操作です")
result = None
print("結果:", result)
Pythonここで深掘りしたいポイントは、「条件分岐は電卓の“頭脳”になる」ということです。 どの操作を選んだかによって、プログラムの動きが変わる。 この「分岐の考え方」が分かると、ゲーム、Webアプリ、ツールなど、あらゆるプログラムで応用できます。
繰り返しとは何か(電卓の「何度でも使える」仕組みとして考える)
繰り返しは「同じ処理を何度も実行する」ための仕組み
電卓アプリを作るとき、「一回だけ計算して終わり」では少し寂しいですよね。 ユーザーが「もう一回計算したい」と思ったときに、何度でも使えるようにしたいはずです。
そこで使うのが「繰り返し」です。 Pythonでは、while や for を使って繰り返し処理を書きます。
電卓アプリでよく使うのは while です。
while True:
operation = input("操作を入力してください (+, -, *, /), qで終了: ")
if operation == "q":
print("終了します")
break
a = int(input("1つ目の数字: "))
b = int(input("2つ目の数字: "))
if operation == "+":
result = a + b
elif operation == "-":
result = a - b
elif operation == "*":
result = a * b
elif operation == "/":
result = a / b
else:
print("不正な操作です")
result = None
print("結果:", result)
Pythonここで重要なのは、while True: という書き方です。 これは「永遠に繰り返す」という意味ですが、break を使うことで途中で抜けることができます。
operation == "q" のときに break しているので、ユーザーが q を入力したらループを抜けて終了します。
このように、繰り返しは「電卓を何度でも使えるようにする」ための仕組みです。 ゲームのループ、Webサーバーのリクエスト処理、ログの監視など、あらゆる場面で繰り返しは使われます。
関数とは何か(電卓の「部品」を作るイメージ)
関数は「処理に名前をつけて再利用する仕組み」
関数は、プログラムの中で「まとまった処理に名前をつけて、何度でも呼び出せるようにする」ための仕組みです。 電卓アプリでは、「足し算」「引き算」「掛け算」「割り算」をそれぞれ関数にすると、コードがとても読みやすくなります。
例えば、次のように書けます。
def add(a, b):
return a + b
def sub(a, b):
return a - b
def mul(a, b):
return a * b
def div(a, b):
return a / b
Pythonここで重要なのは、def と return です。
def は「関数を定義する」ためのキーワードです。 return は「関数の結果を呼び出し元に返す」ためのキーワードです。
これらの関数を使って、電卓の本体を次のように書けます。
def calculate(operation, a, b):
if operation == "+":
return add(a, b)
elif operation == "-":
return sub(a, b)
elif operation == "*":
return mul(a, b)
elif operation == "/":
return div(a, b)
else:
return None
while True:
operation = input("操作を入力してください (+, -, *, /), qで終了: ")
if operation == "q":
print("終了します")
break
a = int(input("1つ目の数字: "))
b = int(input("2つ目の数字: "))
result = calculate(operation, a, b)
print("結果:", result)
Pythonここで深掘りしたいポイントは、「関数は電卓アプリの“部品”になる」ということです。 足し算の部品、引き算の部品、掛け算の部品、割り算の部品。 それぞれを関数として切り出すことで、コードの見通しが良くなり、修正もしやすくなります。
関数は、プログラムを「小さな部品の集まり」として考えるための重要な概念です。 この考え方が身につくと、アプリ全体を「部品の組み合わせ」として設計できるようになります。
ファイル操作とは何か(電卓の「履歴を保存する」機能として考える)
ファイル操作は「データを外に残す」ための仕組み
電卓アプリに少しだけ“実用的な香り”を足すなら、「計算履歴をファイルに保存する」機能をつけると面白くなります。 Pythonでは、open を使ってファイルを読み書きできます。
例えば、計算結果を毎回ファイルに追記するコードは次のようになります。
def save_history(operation, a, b, result):
with open("history.txt", "a", encoding="utf-8") as f:
line = f"{a} {operation} {b} = {result}\n"
f.write(line)
Pythonここで重要なのは、with open(...) as f: という書き方です。 これは「ファイルを開いて、使い終わったら自動的に閉じる」という安全な書き方です。
"a" は「追記モード」を意味します。 毎回新しい行を追加していくので、履歴がどんどん溜まっていきます。
この関数を電卓の本体に組み込むと、次のようになります。
while True:
operation = input("操作を入力してください (+, -, *, /), qで終了: ")
if operation == "q":
print("終了します")
break
a = int(input("1つ目の数字: "))
b = int(input("2つ目の数字: "))
result = calculate(operation, a, b)
print("結果:", result)
save_history(operation, a, b, result)
Pythonこれで、計算するたびに history.txt に履歴が残っていきます。
ファイル操作は、「プログラムの外にデータを残す」ための基本的な技術です。 ログを残す、設定ファイルを読む、データを保存するなど、あらゆるアプリで使われます。
1日目で本当に掴んでほしいこと
1日目で大事なのは、「電卓アプリ」という具体的なイメージを通して、次の5つの柱を体で覚えることです。
変数は「値に名前をつける箱」 条件分岐は「状況によって動きを変える頭脳」 繰り返しは「何度でも使えるループ」 関数は「処理を部品として再利用する仕組み」 ファイル操作は「データを外に残す技術」
電卓というシンプルな題材でも、これだけ多くの重要な概念が詰まっています。 この5つを意識しながらコードを書くことで、「ただ動くコード」ではなく「意味のあるコード」を書けるようになります。
2日目以降は、この電卓アプリを少しずつ拡張しながら、Python文法とアプリ設計の感覚を育てていきます。


