製品のメリットとデメリット
メリット
- 40mmの大型ダイナミックドライバーをコンパクトなオンイヤー筐体に収めており、価格帯を超えたしっかりした鳴り方が期待できる
- 開放型らしい抜けのよさがあり、音のこもり感が少なく、軽やかに楽しみやすい
- 中高域が見通しよく、ボーカルやギター、シンバルの輪郭をつかみやすい
- 0.78mm 2pinの着脱式ケーブルを採用しており、リケーブルしやすい
- 約80g前後の軽量設計で、首や頭への負担を抑えやすい
- 伸縮式ヘッドバンドと可動機構により、見た目以上にフィット感を調整しやすい
- レトロ調のデザインに、現代的な音作りとメンテナンス性を組み合わせている
- イヤーパッドのスポンジやケーブル交換など、長く付き合いやすい構成になっている
- スマートフォンや簡易DACでも鳴らしやすい32Ω・109dB/Vrmsの扱いやすい仕様
- USB Type-C版はDSP補正、32bit/384kHz対応、マイク付きリモコン搭載で使い勝手が高い
デメリット
- 開放型のため音漏れはかなり大きく、静かな公共空間では使いにくい
- 遮音性はほぼ期待できず、周囲の音もそのまま入りやすい
- オンイヤー型のため、耳の形やメガネとの相性によっては長時間で耳まわりに圧迫感が出ることがある
- 低域は量感のバランスこそ良好でも、重低音の沈み込みや厚みを最優先するタイプではない
- 装着が軽いぶん、下を向いたときなどにズレやすいと感じる場合がある
- 折りたたみ機構がなく、持ち運び時の収納性はレトロ系の小型機としてはやや不利
- 付属ケーブルは実用十分ながら、高級感や取り回しの質感に強い期待はしにくい
- 情報量の多い楽曲や低域重視の楽曲では、上位クラスの大型ヘッドホンほどの余裕は出にくい
製品概要
Old Fashionedは、水月雨が手がけたレトロスタイルの開放型オンイヤーヘッドホンです。見た目はどこか懐かしく、軽快でコンパクトなポータブル機に見えますが、内部には40mmの大型ダイナミックドライバーを搭載し、0.78mm 2pinによる着脱式ケーブルや可動性の高いヘッドバンド構造など、現代的な実用性もしっかり備えています。3.5mm版はシンプルなアナログ接続モデル、USB Type-C版はDSP補正や32bit/384kHz対応、マイク付きリモコンを備えたデジタル接続モデルとして展開されており、レトロな外観といまどきの利便性を両立したのが大きな魅力です。
特徴
デザインとコンセプト
- レトロ調の外観: 小型オンイヤーのシルエット、スポンジ系イヤーパッド、金属と樹脂を組み合わせた意匠によって、懐かしさのある雰囲気を演出しています。単なる復刻調ではなく、どこか近未来的な線の細さもあり、古さと新しさが同居する見た目です。
- レトロモダンな仕上がり: 透明感のあるパーツやロゴ使い、直線的なアームデザインによって、いわゆる昔風のヘッドホンそのものではなく、現代的に再解釈したデザインにまとめられています。
- ファッション性の高さ: 音を聴く道具としてだけでなく、首掛け時や装着時の見え方まで含めて楽しめる製品です。日常使いのガジェットとしての存在感もしっかりあります。
音響設計
- 40mm大型ダイナミックドライバー: 小型オンイヤー機としては余裕のある40mmドライバーを採用し、軽量機にありがちな薄さだけで終わらない、しっかりした音の土台を狙っています。
- 三層構造ハイブリッド振動板: 剛性としなやかさの両立を狙った振動板構成により、音の輪郭と扱いやすさのバランスを取っています。価格帯を考えると、この部分はかなり力の入った仕様です。
- 独自のオープン音響構造: 開放型ならではの抜け感を生かしつつ、小型機で不足しがちな低域の土台も意識した構造です。こもりにくく、空気感のある聴き味につながっています。
- DF-HRTFを意識した周波数特性: 自然な聴こえ方を重視したチューニング思想が採り入れられており、派手な誇張一辺倒ではなく、聴きやすさと明瞭さの両立が図られています。
音の傾向
- 中高域の明るさと見通しのよさ: ボーカル、ギター、シンバルなどが前向きに出やすく、音の表情をつかみやすい傾向です。レトロな外観から想像する暖色一辺倒ではなく、意外なほど現代的なクリアさがあります。
- ボーカルの聴きやすさ: 声が埋もれにくく、ポップスやアコースティック系、配信音声などで言葉やメロディーラインを追いやすい点が魅力です。
- 低域のバランス重視: 重低音を大量に盛るタイプではないものの、開放型の小型オンイヤーとしては土台感をしっかり確保しています。量よりもまとまりと聴きやすさを優先した方向です。
- 聴き疲れしにくさと刺激感のせめぎ合い: 高域は比較的シャキッとしている一方で、極端に刺さる方向へ振り切りにくく、華やかさと実用性の間でうまく調整されています。
装着性と使い勝手
- 軽量設計: 約80g前後という軽さにより、オーバーイヤー型よりも気軽に使いやすく、首や頭の負担を感じにくい設計です。
- オンイヤー型ならではの開放感: 耳全体を覆わないため蒸れにくく、短時間はもちろん、ながら聴き用途にも向きやすい構造です。
- 伸縮式ヘッドバンド: 無段階に近い長さ調整ができ、頭のサイズや好みに合わせやすくなっています。
- 可動ジョイント構造: ハウジング側に可動性があり、耳への当たり方を微調整しやすいのが特徴です。軽量設計でもフィット感を出しやすくしています。
- ズレやすさとのトレードオフ: 締め付けが強すぎないため快適性は高い反面、姿勢変化によっては装着位置が動きやすい場合があります。
拡張性とメンテナンス性
- 0.78mm 2pin着脱式ケーブル: イヤホン系では広く使われる規格を採用しており、交換ケーブルの選択肢が豊富です。断線時のリスク軽減にもつながります。
- リケーブルのしやすさ: 3.5mmのまま使うだけでなく、環境に応じて別ケーブルへ交換しやすく、遊びの幅が広いのが魅力です。
- モジュラー的な発想: ヘッドバンドやハウジングまわりを含め、単に一体型で終わらない構成になっており、長く付き合う道具としての面白さがあります。
- イヤーパッド交換のしやすさ: スポンジ系パッドは消耗しやすい部分ですが、交換前提で扱いやすく、実用品としての延命もしやすい仕様です。
接続バリエーション
- 3.5mm版: オーソドックスな有線接続モデルです。スマートフォン、PC、DAP、USB DACなど、手持ちの機器に合わせて柔軟に運用しやすいのが利点です。
- USB Type-C版: UAC対応機器へ直接接続でき、イヤホンジャックのないスマートフォンとの相性が高いモデルです。別途変換アダプターを用意しなくても使いやすい点が大きな魅力です。
- 内蔵DSP補正: USB Type-C版ではデジタル補正を活用し、ターゲットに近い周波数特性を狙った設計が盛り込まれています。
- 32bit/384kHz対応: USB Type-C版はハイレゾ相当のデコード能力を備えており、スマートフォン直結でも手軽に高品位再生を狙えます。
- マイク付きリモコン: USB Type-C版では再生・一時停止や通話操作に対応するマイク付きリモコンを搭載し、日常使いの利便性を高めています。
向いている使い方
- 自宅での音楽鑑賞: 音漏れの大きさを踏まえると、もっとも相性がよいのは室内でのリスニングです。BGM的に長く付き合いやすい一台です。
- ながら聴き: 周囲の音をある程度取り込みながら使えるため、作業中や軽い移動中など、閉塞感を避けたい場面に向いています。
- ボーカルもの中心の再生: J-POP、女性ボーカル、ポッドキャスト、配信音声などとの相性がよく、声を気持ちよく楽しみたいユーザーに向きます。
スペック一覧
| 項目 | Old Fashioned 3.5mm版 | Old Fashioned USB Type-C版 |
|---|---|---|
| 製品名 | MOONDROP Old Fashioned 40mm On-Ear Headphone | MOONDROP Old Fashioned USB Type-C |
| 型番 | MD-HP-032 | MD-HP-032 |
| タイプ | 有線ヘッドホン | 有線ヘッドホン |
| 装着方式 | オンイヤー型 | オンイヤー型 |
| 構造 | 開放型(オープンエアー) | 開放型(オープンエアー) |
| 駆動方式 | ダイナミック型 | ダイナミック型 |
| ドライバー径 | 40mm | 40mm |
| 振動板 | 三層構造ハイブリッド振動板 / Three-layer Rigid-flex Composite Diaphragm | 三層構造ハイブリッド振動板 / Three-layer Rigid-flex Composite Diaphragm |
| 再生周波数帯域 | 20Hz-32kHz(IEC61094, Free Field) | 20Hz-32kHz(IEC61094, Free Field) |
| 有効周波数帯域 | 20Hz-20kHz(IEC60318-4, -3dB) | 20Hz-20kHz(IEC60318-4, -3dB) |
| インピーダンス | 32Ω±15%(@1kHz) | 32Ω±15%(@1kHz) |
| 感度 | 109dB/Vrms(@1kHz) | 109dB/Vrms(@1kHz) |
| 全高調波歪率 | 0.2%以下(@94dB, 1kHz) | 0.2%以下(@94dB, 1kHz) |
| ヘッドホン側コネクター | 0.78mm 2pin | 0.78mm 2pin |
| プラグ | 3.5mmステレオミニプラグ | USB Type-C |
| ケーブル着脱 | 対応 | 対応 |
| ケーブル長 | 約1.2m | 約1.2m |
| マイク | なし | あり |
| リモコン | なし | あり |
| 内蔵DAC / DSP | なし | あり |
| 対応デコード | アナログ接続 | 最大32bit/384kHz |
| UAC対応 | 該当なし | 対応 |
| アプリ対応 | ― | MOONDROP App対応 |
| ヘッドバンド | 伸縮式 | 伸縮式 |
| 可動機構 | フレキシブルジョイント / マルチアクシス系可動構造 | フレキシブルジョイント / マルチアクシス系可動構造 |
| モジュラー構造 | イヤーカップ・ヘッドバンド着脱対応 | イヤーカップ・ヘッドバンド着脱対応 |
| 重量 | 約80g前後 | 約80g前後 |
| 付属品 | 本体、ケーブル、マニュアル、証明書 | 本体、USB Type-Cケーブル、マニュアル、証明書 |
| 発売日 | 2026年2月19日 | 2026年4月22日 |
| カラー | ブラック系 / オレンジアクセント | ブラック&オレンジ |
総合評価とレビュー
Old Fashionedは、いまの市場で見るとかなり不思議な立ち位置にあるヘッドホンです。見た瞬間にまず目を引くのは、80年代から90年代のポータブルオーディオを思わせる小型オンイヤーのたたずまいですが、実際に中身を見ていくと、単なる懐古趣味のアイテムでは終わっていません。40mmという大型ドライバー、0.78mm 2pinの着脱式ケーブル、開放型の音響設計、さらにUSB Type-C版ではDSP補正や32bit/384kHz対応まで用意されており、見た目の遊び心と、音づくりへの本気が同居しています。そのギャップこそが、この製品のいちばん大きな魅力だと言えます。
まず強みとして挙げたいのは、価格に対して音づくりがかなり真面目であることです。レトロな見た目の小型オンイヤーというと、どうしても“雰囲気を楽しむための製品”と思われがちですが、Old Fashionedはそこから半歩どころか一段深く踏み込んでいます。とくに中高域の見通しのよさは印象的で、ボーカルが前に出やすく、ギターやシンバルの輪郭も捉えやすい傾向があります。派手に誇張されたドンシャリとは違い、明るさとキレを持ちながらも、声が埋もれにくい。結果としてJ-POP、女性ボーカル、バンドサウンド、アコースティック系、配信音声のようなコンテンツで気持ちよさが出やすく、音楽との距離が近いヘッドホンに仕上がっています。
低域についても、数値以上に巧みです。重低音を床まで揺らすようなタイプではありませんし、密閉型の大型ヘッドホンのような沈み込みを求めると、さすがに土俵が違うと感じるでしょう。ただ、開放型の小型オンイヤーとして見れば、低域の存在感は想像以上にしっかりしています。スカスカに抜けるだけの軽い音には寄らず、リズムの芯をきちんと支える方向でまとめられているため、ボーカル主体の曲や軽快なロック、ポップスではちょうどいい塩梅になりやすいのです。低音を盛ることで派手に聴かせるのではなく、中高域を引き立てるための土台として機能させているあたりに、設計のうまさがあります。
装着感もこの製品の大きな武器です。約80g前後という軽さは日常使いで効いてきます。オーバーイヤー型の本格機に慣れている人ほど、この軽さには驚くはずです。首や頭への重さの負担が少なく、蒸れにくいオンイヤー構造も相まって、ちょっと音楽を流したいときに手が伸びやすい。気合いを入れて音楽鑑賞を始めるというより、生活の中にすっと入り込んでくるタイプです。ながら聴き、作業BGM、散歩の前後、自宅での軽いリスニングなど、構えずに使える道具としての完成度はかなり高いと感じます。
さらに見逃せないのが拡張性です。この価格帯で0.78mm 2pinを採用していること自体がかなり面白く、断線時のリスクを下げるだけでなく、ケーブル交換による楽しみも用意されています。いわゆる“買って終わり”ではなく、ちょっとずつ自分好みに寄せていける余白がある。最近は低価格帯でも完成品志向のモデルが増えていますが、Old Fashionedはあえてユーザーが手を入れる楽しさを残しています。ガジェットとしての愛嬌があり、音を鳴らす道具としてだけでなく、所有物として育てていくおもしろさも持っています。
一方で、弱みもはっきりしています。最大の弱点はやはり音漏れです。開放型であること自体は長所でもありますが、この製品はその影響がかなり大きく、静かな電車内や図書館、落ち着いたカフェのような環境では使いどころを選びます。周囲の音が入りやすいだけでなく、こちらの聴いている内容もしっかり外へ出てしまうため、屋外で気軽に持ち出せる見た目に反して、実際にはかなり“場所を選ぶヘッドホン”です。持ち歩きたくなるデザインをしているだけに、このギャップは人によっては気になるでしょう。
また、オンイヤー型特有のフィットの難しさもあります。非常に軽く、締め付けも過剰ではないため快適さは高いのですが、その反面、耳の形や頭の動きによっては安定しづらい場合があります。長時間で耳の付け根に圧を感じる人もいれば、逆に軽すぎて装着位置が決まりにくいと感じる人もいるはずです。万人向けのラクさというより、合う人にはとても心地よいが、相性は少し出やすいタイプと考えたほうが正確です。
音質面でも、絶対的なスケール感や情報量では上位機に及びません。音場の広がり、定位の精密さ、低域の沈み込み、複雑な楽曲での余裕など、ヘッドホンとしての総合力をシビアに比べていくと、あくまで価格相応の線はあります。けれど、ここで大切なのは、この製品が本格モニター機や据え置き志向の大型ヘッドホンと真っ向勝負するために生まれたわけではない、ということです。Old Fashionedは、見た目に惹かれて手に取った人を、思った以上にちゃんとした音で喜ばせるタイプの製品です。その役割を踏まえれば、弱みはそのまま個性の裏返しでもあります。
では、どんなユーザーにおすすめか。まず間違いなく向いているのは、音楽を“道具として正確に分析したい人”より、“雰囲気ごと楽しみたい人”です。レトロな見た目が好きで、でも音は妥協したくない。軽くてかわいくて、しかもきちんと聴ける有線ヘッドホンがほしい。そんな人にはかなり刺さります。とくにボーカル中心の曲をよく聴く人、自宅での作業用BGM機を探している人、スマートフォン直結で使いやすい有線モデルがほしい人、そしてリケーブルやちょっとしたカスタムを楽しみたい人には、とても相性がよいでしょう。USB Type-C版なら、いまどきのスマートフォン環境にそのまま溶け込みやすく、日常機としての完成度もさらに高まります。
逆に、外出先で静かに使いたい人、遮音性を重視する人、重低音の迫力を最優先する人には、やや方向違いです。密閉型の安心感や、深く沈む低音の満足感、どんな場所でも気兼ねなく使える汎用性を求めるなら、別ジャンルのヘッドホンを選んだほうが後悔しにくいはずです。Old Fashionedは万能機ではありません。ただ、その代わりに、ほかの量販低価格ヘッドホンにはない味があります。
総評すると、Old Fashionedは「見た目がいいだけ」で終わらなかったことに価値のある製品です。レトロな外観、小型軽量、開放型、着脱式ケーブルという分かりやすい個性に加え、肝心の音までしっかり練られている。そのため、最初はデザインに惹かれて手に取っても、最終的には音と使い勝手で手元に残りやすい。価格を考えると、これはかなり贅沢な体験です。完璧ではありません。音漏れもしますし、装着の相性もありますし、上位機のような圧倒的な完成度があるわけでもありません。それでも、手にした瞬間の楽しさと、鳴らしたときの納得感がしっかり両立している。Old Fashionedは、いまの時代にあえてこういう形で出てきた意味がある、愛嬌と実力を兼ね備えた一台です。
※セール開催・内容・価格等は、予告なく変更となる場合がございます。正確な情報は、販売ページ上でご確認ください。
