東京音響は、イヤホンブランドMADOO(マドゥー)から、金蒸着パッシブラジエーターを装備したマイクロプラナードライバーを搭載するイヤホン「Typ831」を9月18日より発売する。価格はオープンプレイスで、店頭予想価格は270,000円前後。
製品概要
Typ831は、MADOOが送り出す密閉型カナル型の有線イヤホンで、12mm径マイクロプラナードライバー「Ortho Dual Motion」と金蒸着パッシブラジエーターを組み合わせた専用ドライバー構成により、Typ821のサウンドシグネチャーを受け継ぎながら、近さと広さを同時に感じさせる開放的な音場を実現したハイエンドモデルである。
主な特徴
サウンドシグネチャーと音場表現
Typ831が目指したのは、Typ821の単なる再現ではなく、そのサウンドシグネチャーをさらに進化させることだ。鮮やかに伸びる華やかな高域、歌い手の息遣いまで近くに感じさせるボーカル表現、輪郭の明瞭なクールな音調を継承しつつ、音像の周囲により大きな余白を与えることで、演奏空間が自然に広がっていくようにチューニングされている。「近さ」と「広さ」という相反する要素を両立させた、Typ821の正統進化というコンセプトがそのまま音に宿っている。
この開放的な空間表現を支えるのが、マイクロプラナードライバー「Ortho Dual Motion」の背面に配置されたパッシブラジエーターだ。耳道内の圧力を緻密に調整し、密閉型イヤホンに生じやすい閉塞感や不快な共振を抑制することで、個々の音を窮屈に押し込めることなく、自然な抜けと見通しを与える。結果として、ボーカルの存在感を損なわず、より広がりのある音場が立ち上がり、音楽の息遣いが一層生々しく感じられる。
金蒸着パッシブラジエーター搭載「Ortho Dual Motion」ドライバー
Typ831に搭載されるドライバーユニットは、Typ930で採用された12mm径マイクロプラナードライバー「Ortho Dual Motion」をベースにした専用仕様だ。Typ821の10mm径Orthoから大口径化した振動系と強化された磁気回路を受け継ぎ、その背面にパッシブラジエーターを配置している。Typ831では、このパッシブラジエーターに金蒸着処理を施した専用仕様を採用しており、測定用マイクロホンや高精度マイクロホンにも用いられる金蒸着技術を音響設計に取り込んでいる。
パッシブラジエーターは、薄膜のエンジニアリングプラスチック製膜に金蒸着を施した振動板と真鍮製マスダンパーで構成される。耳道内の圧力を調整することで閉塞感や不快な共振を軽減し、音場を広く感じられるよう作用するため、密閉型でありながら開放的な音場感を獲得している点が大きな魅力だ。ドライバーハウジングには真鍮とステンレスが併用され、サファイアクリスタルの窓から内部構造を眺めることができる構成も、技術とデザインが一体となったTyp831らしいポイントである。
純チタン製ハイリジッドハウジングとエルゴノミックデザイン
ハウジングには、優れた比強度と耐食性、生体適合性を備えた純チタンが採用されている。純チタンは切削時の熱が工具先端に集中しやすく、精密加工には緻密な条件管理が求められる難削材だが、Typ831ではチタンブロックから高精度CNC加工によって一台分のハウジングを約15時間かけて削り出している。切削後には職人による手作業でサンドブラスト処理を施し、さらにPVD処理を加えることで、柔らかな面の質感とシャープな稜線を両立させた独特の表情を生み出している。
素材単体の特性に頼るのではなく、高精度な切削とハウジング形状設計によって軽量性と構造的安定性を両立させ、スピーカーユニットの振動を支える高剛性な基礎としてOrtho Dual Motionのポテンシャルを最大限に引き出すことを目指している。ハウジング形状には、MADOOがこれまでのイヤホン開発で培ってきた装着感に配慮したエルゴノミックデザインが採用され、耳に沿う柔らかな形状と工業製品らしい幾何学的な力強さが共存することで、快適な装着性と視覚的アイデンティティが両立されている。
多角形デザインコードとテーマカラー「Akatsuki Marine」
Typ831は、Typ711やTyp821から続く多角形のデザインコードを継承している。潜水艦の舷窓をモチーフとした六角形の窓と、それを囲むビスによって、精密機器らしい機械的な表情を与えつつ、サファイアクリスタル越しに内部機構を見せる構成が「メタルスキマティックデザイン」を象徴している。六角形という合理的な幾何形状を用いることで、自然界のハニカム構造と工業構造のイメージを重ね合わせ、視覚的にも印象的なデザインに仕上げている。
テーマカラーには、夜明けの海から着想を得た「Akatsuki Marine(アカツキ・マリン)」が採用されている。Typ821から続くブルーの系譜を示しながら、海に最初の光が差し込む新たな一日の始まりを重ねることで、新しい出発を象徴するカラーリングとなっている。サファイアクリスタルの窓の内側には、青色のアルマイト処理を施したチタン製オーナメントが配され、奥行きのあるブルーが静かに輝き、所有する喜びをそっとくすぐる。
シルバーコート銅線4芯ケーブルとPentaconn Earコネクター
付属ケーブルには、シルバーコートされた銅線の2芯×2構成による4芯ケーブルが採用されている。音質ロスを低減した線材によって、イヤホンの性能をしっかりと引き出し、繊細なニュアンスを損なわずに伝送することを狙った設計だ。コネクター部には、日本ディックスが設計・生産する高音質・高信頼性のIEMコネクター「Pentaconn Ear」が用いられ、従来型MMCXコネクターよりもプラグ
プラグには4.4mm 5極L字金メッキプラグ「MRC023」が標準添付され、バランス接続環境でTyp831のポテンシャルを存分に味わえる構成となっている。ケーブル長は約1.2mで、銀メッキ銅線4芯構造、不透明黒シース(日本製樹脂)という仕様が、取り回しと耐久性、音質のバランスを意識したものになっている。
実用スペックと付属品
Typ831のインピーダンスは18Ω、最大入力は5mW(0.4V)、周波数特性は20Hz〜40kHzとされており、ハイレゾ再生環境にも十分対応できる帯域をカバーしている。ケーブルを含む重量は約45gで、金属ハウジングと4芯ケーブルを備えながらも、日常的なリスニングに耐えうる取り回しやすさを意識したバランスに落とし込まれている。
付属品として、シリコンイヤーチップAET07(S/M/L各1セット)、フリーサイズのフォームチップ1セット、イヤーチップケース、キャリングケースが同梱される。保証期間は本体1年間、ケーブル・アクセサリ類90日間とされており、ハイエンドモデルとしての安心感も備えている。
スペック一覧
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | Typ831 |
| ブランド | MADOO |
| 形式 | 有線イヤホン/密閉型カナル型/マイクロプラナー型 |
| ドライバー構成 | Micro Planar「Ortho Dual Motion」ドライバー(Typ831専用金蒸着パッシブラジエーター仕様) |
| ドライバーユニット径 | 12mm(Ortho Dual Motionベース) |
| ハウジング素材 | 純チタン+サファイアクリスタル(ドライバーハウジングに真鍮+ステンレス併用) |
| デザイン | 多角形デザインコード/潜水艦の舷窓モチーフ六角形窓/メタルスキマティックデザイン |
| テーマカラー | Akatsuki Marine(アカツキ・マリン) |
| コネクター | Pentaconn Ear |
| プラグ | 4.4mm 5極L字金メッキプラグ「MRC023」 |
| ケーブル構成 | 銀メッキ銅線4芯構造(2芯×2)/不透明黒シース(日本製樹脂) |
| ケーブル長 | 約1.2m |
| インピーダンス | 18Ω |
| 最大入力 | 5mW(0.4V) |
| 周波数特性 | 20Hz〜40kHz |
| 重量(ケーブル含む) | 約45g |
| 付属イヤーチップ | シリコンイヤーチップAET07(S/M/L各1セット)、フォームチップ(フリーサイズ)1セット |
| 付属ケース類 | イヤーチップケース、キャリングケース |
| 保証期間 | 本体:1年間/ケーブル・アクセサリ類:90日間 |
| 発売日 | 2026年9月18日 |
| 価格 | オープン価格(市場想定価格:税込270,000円前後) |


